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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-03-30

R. ブラウニング「春の朝」


詩集『ピパの歌』より

2017-03-28

雲にたなびく


昨日きのふこそ 君はありしか 思はぬに
浜松のうへに 雲にたなびく

大伴三中おほとものみなか:万葉集


出典:日本古典文学全集 萬葉集1 1999 小学館
注)…こそ = 已然形 逆接条件を表す
注)…か = 念を押す気持ちを表す …ではないか
注)思はぬに = 思も及ばず
注)雲に… = 雲となって…


2017-03-26

村治佳織さん「アランフェス協奏曲」


村治佳織さんのギターで、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」の第二楽章。
コンサートホールの舞台での演奏ですが、オーケストラのメンバーは皆平服で、客のいないレコーディング・セッションでの収録のように見えます。

この演奏が、大変気に入っています。

冒頭で、ギターが奏でる和音に合わせて、テーマを演奏するイングリッシュ・ホルンが大変に素晴らしく、聞き惚れます。
この第二楽章は、ギターとイングリッシュ・ホルンの演奏で決まり……これが、表面的だったり、軽い演奏だったりすると、残念なことになってしまいます。
演奏しているオーケストラも指揮者も、名前がわからないのですが、いずれも素晴らしいと思います。

村治さんのギター、後半のカデンツァで、長い休止と、それに続く pp から ff へ演奏が、思わず息を潜めて聴き入る緊張感を伴って、快く響きます。

このビデオクリップは、誠に残念なことに、最後の数十秒の演奏がカットされて、しり切れトンボになってしまっています。
しかし、そうであっても、この曲はこの演奏で聴きたいと思う素晴らしさがあります。

Bravo!!!

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”Concierto de Aranjuez : Adagio”
「アランフェス協奏曲 第二楽章」
作曲: Joaquín Rodrigo
AG: 村治 香織
Orch: Orchestra Sinfonica de Galicia -Spain
Cond: Victor Pablo Perez


改訂:8/7 追記;オーケストラ名及び指揮者名


2017-03-21

うべも恋ひけり


皆人みなひとの ふるみ吉野 今日けふ見れば
うべも恋ひけり 山川やまかは きよ

作者不詳なり:万葉集


出典:日本古典文学全集 萬葉集2 1999 小学館
注)うべも恋ひけり = 恋うのももっともだ


2017-03-19

2017-03-18

C.P. ボードレール「薄暮の曲」


「惡の華」より




薄暮くれがたの曲
    
シャルル・ボドレエル


時こそ今は水枝みづえさす、こぬれに花のふるふころ。
花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
匂も音も夕空に、とうとうたらり、とうたらり、
ワルツの舞の哀れさよ、疲れみたる眩暈くるめきよ。

花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
きずに悩める胸もどき、ヴィオロンがく清掻すががきや、
ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦みたる眩暈くるめきよ、
神輿みこしの台をさながらの雲悲みてえんだちぬ。

きずに悩める胸もどき、ヴィオロンがく清掻すががきや、
闇の涅槃ねはんに、痛ましく悩まされたる優心やさごころ
神輿みこしの台をさながらの雲悲みてえんだちぬ、
日や落入りておぼるゝは、るゆふべの血潮雲ちしほぐも

闇の涅槃ねはんに、痛ましく悩まされたる優心やさごころ
光の過去のあとかたをめて集むる憐れさよ。
日や落入りて溺るゝは、こゞるゆふべの血潮雲、
君が名残なごりのたゞ在るは、ひかり輝く聖体盒せいたいごう



Charles Pierre Baudelaire 1857 Les Fleurs du Mal
「惡の華」より:上田 敏 訳 1905「海潮音」本郷書院



出典:日本近代文学大系 52 明治大正訳詩集 角川書店

注)水枝 = 瑞枝 みずみずしい若枝
注)こぬれ = 木末 こずえ
注)顫ふ = ふるえる
注)薫じて = よい香りを放って
注)とうとうたらり、とうたらり = 能の ”翁” で呪文のように謡われる文言
注)清掻 = 歌を伴わない演奏
注)艶だつ = 優雅に あでやかになる
注)闇の涅槃 = néant vaste et noir 広大な虚無と暗黒
注)聖体盒 = 聖体顕示台(カトリック教会の儀式に用いる)


関連記事リンク: 中原中也「時こそ今は……」


改訂:2018.05.16 レイアウト変更
2019.03.21 関連記事リンク記載


2017-03-17

もろき命も


題詞:老いたる身にやまいかさね、年を経て辛苦たしなみ、また児等こらを思ふ歌七首 長一首 短六首
反歌 その五

2017-03-15

バッハ BWV1067 "メヌエット" "バディネリー"


Lenka Molčányiová(レンカ モルチャノヴァ)さんのブロックフレーテで、J.S.バッハ管弦楽組曲第二番より “メヌエット” と “バディネリー”。

2017-03-14

中原中也「春の日の歌」


中原中也「未刊詩篇」より

2017-03-11

H.ハイネ / F.シューベルト「アトラス」


シューベルト作曲、歌曲集「白鳥の歌」よりハイネの詩による「アトラス」

2017-03-09

R. ブラウニング「至上善」


詩集「「アソランドオ」」より



至上善しじょうぜん


蜜蜂みつばちふくろにみてる一歳ひととせにほひも、はなも、
寶玉ほうぎょくそこひかれる鑛山かなやまとみも、不思議ふしぎも、
阿古屋貝あこやがひうつしかくせるわだつみのかげも、ひかりも、
にほひはなかげひかりとみ不思議ふしぎおよぶべしやは、
   ぎよくよりもかがやまこと
   たまよりも澄みたる信義しんぎ
天地あめつちにこよなきまことみわたるいち信義しんぎ
   をとめごのきよきくちづけ。
 

       ロバアト・ブラウニング「アソランドオ」


Robert Browning 1898 "Asolando"
上田 敏 訳 1905「海潮音」本郷書院


出典:日本近代文学大系 52 明治大正訳詩集 角川書店

注)わだつみ = わたつみ 海 海を支配する神
注)をとめご = 少女子



2017-03-07

旅行く君が

題詞:五年戊辰、太宰祥弐石川足人朝臣だざいふのせうにいしかはのたるひとあそみ遷任せんにん するに、筑前国の蘆城あしき駅家うまやうまのはなむけせし歌三首 (歌その一)

2017-03-06

中原中也「曇天」


詩集「在りし日の歌」より

2017-03-05

「刑事フォイル (Foyle's War)」


常日頃、テレビのスイッチを入れることはほとんどなく、ますます浮世離れが進んだ生活になってしまっています。 そんな中、唯一の例外。その放映をテレビの毎週日曜日の視聴予約に設定して楽しみにしている番組があります。

2017-03-04

藤井香織さん グノー「アヴェ・マリア」


厚みのあるふくよかな低い音、暖かい中音域、丸くなりすぎず澄明に伸びる高い音…… その柔らかく暖かい響きが心地よい。

2017-03-02

忘れ草


題詞: 大伴宿禰家持おほとものすくねやかもち の、坂上さかのうえいえ 大 嬢 だいぢやうに贈りし歌二首 離絶 りぜつ すること 数年すうねん にしてまたひて  相聞往来 さうもんわうらいしき
(その一)

2017-03-01

M.ポルナレフ “誰がおばあちゃんを殺したか”


"誰がおばあちゃんを殺したか"
作詞・作曲・歌・ピアノ:ミッシェル・ポルナレフ
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ポルナレフのこの歌、ご存知でしょうか?