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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-06-30

アルフレッド・テニスン「去り逝く白鳥」


この詩に触発されたロシアのバレリーナ アンナ・パヴロワ の依頼で、振付師 ミケル・フォーキンが、曲にサン=サーンスの「白鳥」を選び、詩の内容を振り付け、バレー「去り逝く白鳥」を完成させたといわれる。

2017-06-29

散らしてむとか

 

題詞: 大伴家持おほとものやかもち の、霍公鳥ほととぎすおそくをうらみし歌二首 その一

2017-06-27

G.ヒュッシュ「鳩の使い」白鳥の歌より


まさか、こんな、懐かし映像・歌唱にお目にかかれるとは…

  バリトンの、ゲルハルト・ヒュッシュ氏(当時、芸大の教授でした)。

10代の中頃、学校にもろくにいかず、当時のNHK教育テレビで、シューベルトの歌曲を聴かせてもらいました。
シューベルトの「魔王」など、その放送画面を、まだ、半分ぐらい覚えています。
初めてのリート、初めてのバリトンでした。だから、先生のような感じがします。

それから、少し、およそ20年ほどですが、時を経たあるとき、仕事で数日間行動を共にしていたドイツ人のエンジニアと、暇つぶしに片言の雑談。
私が、日本人はドイツ人に次いでドイツ・リートが好きだといわれている、というと、怪訝な顔。
どんな歌手を聴いているんだ?と尋ねるので、まず、ディートリッヒ・フィッシャー・ディスカウ、と答えると、OK。

次は?
ハンス・ホッター、というと、???、 スペルは?
スペルは知らないが、多分 H O T T E R で、バス・バリトンと答えるが、やはり知らない。

他には? と、さらに訊く。
その時、ヘルマン・プライの名も浮かんだが、彼のリートは聴いていなかったので、ゲルハルト・ヒュッシュと答える。
また、スペルは? と訊く。
さらに知るわけないので、当てずっぽうで H Ü S C H と答えるが、これも知らない。

君は、ほんとにドイツ人かい?とからかってやったら、悔しそうに、ドイツには偉大な音楽家がたくさんいるんだ!とのこと。
なるほど、それはそうだ。しかし、リートを聴かないドイツ人もまた多いに違いない。

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鳩の使い

いとおしの使い鳩 なさけ深き鳩
行く手をたがえず使いに飛ぶ
日ごとに夜ごとに使いに出せば
喜び飛び行く 君が許へ 君が許へ

君が窓辺に寄りそい のぞき戯れ
便りを伝えて返事かえしを聞く
ふみ書くことなく涙おくれば
たがわず伝える誠実まことの鳩 誠実の鳩

夜にも昼にも心かえず
飛びけることを喜ぶ鳩
疲れも知らずに勇みて飛び
報酬むくいも求めぬ誠実まことの鳩 誠実の鳩

わが胸にいつくしむめぐし使い鳩
君知るや 鳩の名をば
名は "憧憬"あこがれ 名は "憧憬!"
わが胸にいつくしむ愛し使い鳩
君知るや 鳩の名をば
名は "憧憬" 名は "憧憬"

   ヨハン・ガブリエル・ザイドル作詞 門馬直衛訳


出典:フィッシャー・ディースカウ シューベルト「三大歌曲集」付録 1961 東芝音楽工業株式会社


    Bravo !!!!!!!!!!!


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「鳩の使い」歌曲集 白鳥の歌より
“Die Taubenpost” aus Schwanengesang
作曲:Franz Peter Schubert
作詞:Johann Gabriel Seidl
Br: Gerhard Hüsch (1901-1984)
Pf: 小林道夫


訂正:6/27 誤字訂正


2017-06-25

2017-06-24

ポール・フォール「別離」


Paul Fort: フランス詩人。だが、芸術座を設立して象徴派戯曲を上演したり、雑誌『詩と散文』を創刊して新進詩人の紹介につとめるなど、近代仏文学の興隆にあずかって力あった。(出典 解題より)

2017-06-22

M.ペライア ピアノ・ソナタ “月光” 第3楽章


今日は一日中、何か気分が落ち着かない…
そして、いつもと違った音楽、なにか、激しい音楽を聴きたくなった。

2017-06-21

中原中也「倦怠」


中原中也「未刊詩篇」より

2017-06-19

山田一雄指揮 日本合唱協会「夏の思い出」


尾瀬には、行きたい、いきたい… と言っていたが、とうとう一度も行けなかった……。

尾瀬は人気がありすぎて、シーズン中は訪れる人も多く、木道を列をなして歩くハイカーの姿を思い浮かべて、つい敬遠してしまいました。
オフシーズンに、と思ったたこともありましたが、アプローチの距離が長いこともあって二の足を踏んでしまいました。

代わりに、というわけではないのですが、尾瀬から遠くない湿原、鬼怒沼には3,4回訪れました。
鬼怒沼は、標高2000m超にある、一目で見渡せる小さな湿原。
尾瀬より1000m以上高く、植生が違っていて派手な花などはなく、静かで落ち着いた、天上の楽園。

鬼怒川を遡った一番奥、標高1400mにある山小屋風の日光沢温泉に連泊して、渓谷を散策したり、標高差約600mの鬼怒沼まで往復したり。
いつも、シーズンのピークを避けて訪れたので、多くても数人の訪問者と行き違う程度の登山(標高差600mを登るのはいっぱしの登山です)で静かな湿原と澄んだ冷たい空気を味わうことができました。

最後に訪れたのが、たしか1999年の夏… 18年前
……… 遠い、とおい昔の、夏の思い出です。


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貼り込んだクリップは、日本のクラシック音楽草分けの指揮者 山田一雄さん(愛称ヤマカズさん)指揮 による、日本合唱協会「夏の思い出」。
大変凝った編曲ですが、誰によるのもか不明。それでも、たぶん、作曲もされた ”ヤマカズさん” 自身の編曲と推察します。

この曲の、他の多くの演奏とは少し趣が違います。

  静かに、厳かに、言葉にならぬ想いはハミングにのせ、ハーモニーが、響く……

”ヤマカズさん” が、ここに託したメッセージ…… 遠いとおい夏の思い出、再び戻ることは叶わぬ思い出に、涙しているかのように、聴こえます。

  鎮魂 ……

    Bravo !!!!!!!!!!!


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「夏の思い出」
作詞:江間章子 作曲:中田喜直
合唱:日本合唱協会 指揮:山田一雄


2017-06-17

庄司紗矢香さん Paganini 難曲にブラボー!


庄司紗矢香さん、アンコールにこの難曲を! 豪快にそして繊細に!

2017-06-16

鳴くほととぎす


皆人みなひとの 待ちし卯の花 散りぬとも
鳴くほととぎす われ忘れめや

大伴清縄おほとものきよつな:萬葉集 1482


注)散りぬとも = ぬ〔助動 完了〕+ とも〔助 既定事実を仮定の形で強調〕散ってしまっても
注)…めや = め〔助動 む 已然形〕+ や〔助 已然形を承け反語〕…しよう、いや …しない → …しない!

出典:新編日本古典文学全集 萬葉集2 1999 小学館
参照:岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店

改訂:6/16 注)の内容改正
  :6/16 注)に加筆 ” → …しない!”


2017-06-15

へリベルタ・V・ポシンゲル「わかれ」


へリベルタ・フォン・ポシンゲル (Heriberte von Poschinger, 1849-?) は「ハインツ・オッセン」の筆名を持つドイツ女流詩人 : 上田敏「海潮音」解題より

2017-06-13

Alto Flute “Kakariko Village”


ここで演奏される楽器は、アルト・フルート。
普通のフルート(C管)より4度低いG管で、キー配列はC管と同じ移調楽器。

2017-06-11

中原中也「頌歌」


中原中也「未刊詩篇」より

2017-06-08

合唱団京都エコー「大地讃頌」


混声合唱とオーケストラのためのカンタータ『土の歌』より、終曲「大地讃頌」。


母なる 大地の ふところに
我ら 人の子の 喜びはある
大地を愛せよ 大地に生きる
人の子ら (人の子ら) 人の子
その立つ土に 感謝せよ
・・・・・・・・・・・・・

ピアノの間奏が、大地を揺るがすかのように響く………呻くアトラス。

以下、

平和な大地、静かな大地、誉めよ、たたえよ、土を、等々の言葉が繰り返し歌われる。

また、中ほどで、男声と女声がそれぞれ異なる歌詞を同時に歌う箇所もあります。
歌詞を、どんなに明瞭に歌っても、これは聞き取りにくいので下記。

(男声)我ら 人の子 我ら 人の子 大地を 誉めよ 誉めよ 頌えよ
(女声)恩寵の 豊かな 豊かな 大地 大地 大地 頌えよ 頌えよ 土を


Bravo!!!!!!!!!

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「大地讃頌」
作詞:大木惇夫 作曲:佐藤眞
合唱:合唱団京都エコー
Pf:藤沢篤子 指揮:浅井敬壹


1999.2.13 京都コンサートホール大ホール「合唱団京都エコー創立35周年記念演奏会」


2017-06-07

楝の花は


妹が見し あふちの花は 散りぬべし
が泣くなみだ いまだなくに

山上憶良やまのうえおくら:萬葉集 798

注)あふち = おうち センダン
注)…ぬべし = ぬ〔完了〕+ べし〔推量〕…してしまいそうだ
注)…なくに = …ないのに

出典:新編日本古典文学全集 萬葉集2 1999 小学館
参照:岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店


2017-06-06

R.M. リルケ「君は待っていてはいけない」


君は待っていてはいけない


君は待っていてはいけない、神が君のところまで来て
そして言うのを、「私は在る」と。

神と称する者が、自らを威力ある者とするなら、
それは神ではない。

君は知らなければならない、神が君を吹き貫いていることを、
創めから、

そして、君の心が照り輝いてもなお何も顕れてこないとき、
神はそこに自らを創造する。


Rainer Maria Rilke 1898 “Du darfst nicht warten”
ライナー・マリア・リルケ 1898
「君は待っていてはいけない」:土のちり訳


改訂 6月7日:原詩掲載廃止
   6月7日:レイアウト変更し原詩再掲載


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Du darfst nicht warten, bis Gott zu dir geht
und sagt: Ich bin.
    Ein Gott, der seine Stärke eingesteht,
hat keinen Sinn.
    Da musst du wissen, dass dich Gott durchweht
seit Anbeginn,
    und wenn dein Herz dir glüht und nichts verrät,
dann schafft er drin.

       Rainer Maria Rilke, 18.5.1898, Viareggio
       Ref: http://rainer-maria-rilke.de


2017-06-04

中原中也「少女と雨」


未刊詩篇より




少女と雨


少女がいま校庭の隅に佇んだのは
其處は花畑があつて菖蒲の花が咲いてるからです

菖蒲の花は雨に打たれて
音樂室から来るオルガンの 音を聞いてはゐませんでした

しとしとと雨はあとからあとから降つて
花も葉も畑の土ももう諦めきつてゐます

その有様をジッと見てると
なんとも不思議な気がして来ます

山も校舎も空のもと
やがてしずかな囘轉をはじめ

花畑を除く一切のものは
みんなとつくに終つてしまつた 夢のやうな気がしてきます



中原中也 1936 (推定) 未刊詩篇


出典:中原中也全詩集 P.828 1972 角川書店



2017-06-03

その鳴く声を


ほととぎす なかる国にも きてしか
その鳴くこえを 聞けば苦しも

弓削皇子ゆげのみこ:萬葉集 1467

注)なかる = (なくある)→いない
注)…てしか = 〔願望〕…たいものだ
注)…しも = 〔強調〕…ことよ

出典:新編日本古典文学全集 萬葉集2 1999 小学館
参照:岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店


2017-06-01

合唱団京都エコー「夏は来ぬ」


夏は来ぬ
 
うの花の、におふ垣根に、
時鳥ほととぎすはやもきなきて、
忍音しのびねもらす、夏は来ぬ。

さみだれの、そゝぐ山田やまだに、
早乙女さおとめが 、裳裾もすそぬらして、
玉苗たまなへうゝる、夏はきぬ。

たちばなの、かほる軒ばの、
窓近く、ほたる飛びかひ、
おこたりいさむる、夏は来ぬ。

あふちちる、川べの宿の、
かど遠く、水鶏くひなこゑして、
夕月ゆふづきすゞしき、夏は来ぬ。

五月さつきやみ、蛍とびかい、
水鶏くいななき、卯の花さきて、
早苗さなえうゑわたす、夏は来ぬ 。

 
作詞:佐佐木信綱


注)うの花 = 卯の花 ウツギの花
注)さ = 古語の サ(神稲)は田植えの意
  五月 = さ+月→ 田植えの月
  さみだれ = さ+水垂れ→ 田植えの頃の長雨
  早乙女 = さ+乙女→ 田植えする少女
  早苗 = さ+苗→ 田植えする苗 稲の苗
注)裳裾 = 着物の裾
注)玉苗 = 早苗
注)うゝる = 植うる 植える
注)立ばな = 橘
注)怠りいさむる = 勉学の怠りを戒める

注)楝 = あふち / おうち センダン
注)水鶏 = クイナ(冬鳥) 日本の古典では夜行性の夏鳥 ヒクイナ を指す
注)五月やみ = 五月闇 田植えの頃の夜
注)うゑわたす = 植え渡す 植えて田に行き渡らせる


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   Bravo!!!!!!!!!!!!!!


「夏は来ぬ」
作詩:佐佐木信綱 作曲: 小山作之助 編曲:飯沼信義
合唱:合唱団京都エコー 指揮:浅井敬壹 ピアノ:藤沢篤子


Link:「夏は来ぬ - by Hue, a Korean Duo」
改訂:2022.05.22 夏はきぬ→夏は来ぬ